棟方志功(むなかたしこう)が愛した温泉として知られる青森県の浅虫温泉(あさむしおんせん)。1190年、この地を訪れた法然(ほうねん)によって温泉への入浴が広められたという歴史のある温泉地です。
じつはそれ以前にも麻を蒸すために温泉が使われていたといいます。それが浅虫温泉の名の由来。いつしか「麻蒸」から「浅虫」へと漢字が変わったそうです。
今回ご紹介するのは棟方志功ゆかりの宿 浅虫温泉 椿館(つばきかん)。明治天皇も宿泊した歴史のある老舗旅館です。
館内には、棟方志功の写真や作品など、ゆかりのものが多数、展示されています。
毎年、夏の間、東京の自宅から家族とともに椿館を訪れ、長逗留したという棟方志功。この地には静養に来ていたので版画の道具は持ってきませんでした。しかし、創作意欲を抑えきれず、絵筆をとったといいます。
そのため椿館に展示されている作品は、ほとんどが貴重な直筆画です。
こちらはなんとも愛らしいおたくふくの絵。棟方作品の女性像は、その多くが奥さまをモデルにしたと言われています。
お部屋は木のぬくもりにあふれた居心地のよい和室。のんびりとくつろぐことができます(客室のタイプは 宿泊ブラン の中から選べます)。旅の荷をほどいたら棟方志功も愛した名湯を楽しむことにしましょう。
いくつもの湯船が用意されている広々とした浴室。自家源泉の泉質は単純温泉。弱アルカリ性で美肌効果もあるので女性はうれしい温泉です。外には石造りの野趣あふれる露天風呂も用意されています。
続いてのお楽しみは夕食。料理はお部屋でいただくことができます。もてなしは七珍鍋(しっちんなべ)会席と名づけられたコース料理。盛り付けにもこだわった料理の数々。どれから箸をつけようか迷ってしまいます。
前菜は津軽の味っ子と名づけられた三品。アワビとクラゲの和え物、五色なますとイクラ、そして、なめこの佃煮。
ベビーホタテは野菜といっしょに朴葉焼きで。朴葉味噌の濃厚な風味が淡泊なホタテとよく合います。肉料理は黒毛和牛の陶板焼き。霜降りの和牛は旨みがたっぷり。
メインは陸奥湾(むつわん)の七珍鍋(しっちんなべ)。陸奥湾で獲れた七つの美味と海草などがいくつも盛り合わされています。
深い味わいと歯ごたえのあるアワビ。この地方では昔から食べられてきた珍味のホヤ。そしてナマコ。さらにウニまで。
棟方志功ゆかりの宿で自家源泉の名湯と陸奥湾の美味を堪能。四百有余年の歴史を積み重ねた老舗宿のもてなし。満足できます。
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