懐かしい昭和の面影を残す長野県山ノ内町にある渋温泉(しぶおんせん)。温泉街の中心にあるのが 金具屋(かなぐや)。歴史ある館内の文化財に加え、さまざまな泉質の湯めぐりも楽しめる由緒ある老舗旅館です。今回は、金具屋の人気のお風呂をご紹介します。
金具屋には三つの大浴場と五つの貸切風呂があります。お風呂のお湯はすべて源泉掛け流し。こちら(上の画像)は大浴場のひとつ「鎌倉風呂」(かまくらぶろ)。ひょうたん型の湯船がなんともユニーク。
鎌倉風呂は渋温泉に伝わる源頼朝(みなもとのよりとも)伝説に基づいて造られたもの。鎌倉時代の建築をイメージしているそうです。お湯は二つの源泉を混ぜ合わせた混合泉(こんごうせん)。二つのお湯が混じり合うことで白い湯の花がただようのが最大の特徴です。
鎌倉風呂の泉質は弱酸性。肌にもやさしくなめらかなお湯です。湯船は深め。肩までどっぷりつかって、じっくり温まるのにぴったりです。
こちら(上の画像)は金具屋の誇る龍瑞露天風呂(りゅうずいろてんぶろ)。開放感あふれる広々とした露天風呂です。お湯はちょっと熱めで泉質は弱アルカリ泉。ナトリウムとカリウムが豊富な塩化物泉。美肌の湯としても知られています。
露天風呂の底に敷かれているのは浅間山の火山岩。赤い石や黒い石がありますが、これは溶岩が固まるときの温度によって色が変わったもの。なんとも野趣あふれる露天風呂です。眺めも良好。山並みも一望できます。風に吹かれながら、いくらでも長湯ができそうな温泉です。
このほかにも子安の湯(こやすのゆ)をはじめ美妙の湯(びみょうのゆ)惠和の湯(けいわのゆ)和予の湯(わよのゆ)岩窟の湯(がんくつ)など五つの貸切風呂もあります(上の画像は子安の湯)。どれもこれもが一級品の源泉。じつに贅沢。
木曽の名木を使った美妙の湯。木のやわらかさに癒されます。
浅間山の火山石で造った惠和の湯。石の肌触りが特徴。
舟をかたどった和予の湯。寝湯としても楽しめます。
自然の岩に囲まれた岩窟の湯。非日常の空間で瞑想気分にひたれます。
そしてこちら(上の画像)が金具屋の大浴場の中でも人気のお風呂「浪漫風呂」(ろまんぶろ)。浪漫風呂が造られたのは昭和25年(1950年)。戦後に流行した洋式のスタイルで造られた湯船は、まるでローマの噴水。そのため浪漫風呂は「ローマ風呂」とも呼ばれていました。
しっとりとやわらかい肌触りの濁り湯。昔は「泥の湯」(どろのゆ)と呼ばれたそうです。特注のステンドグラスも趣があります。
三つの大浴場に五つの露天風呂。源泉掛け流しの八つのお風呂で温泉三昧。金具屋(かなぐや)での湯めぐりは、時間がいくらあっても足りないくらいです。