JR長野駅から長野電鉄に乗り換え特急でおよそ50分。終点の湯田中駅(ゆだなかえき)から路線バスに乗り継ぐこと約7分。志賀高原の麓に見えてくるのは昭和の雰囲気を感じさせる温泉街・渋温泉(しぶおんせん)
そんな温泉街の中でもひときわ目立つ木造四階建ての建物のある渋温泉の老舗宿・金具屋(かなぐや)。金具屋という名前は、主人が宿を開く前に鍜冶屋を営んでいたことにちなんでいるとか。敷地から温泉が湧き、鍜冶屋から旅館に商売替えをすることになったところ当時の松前藩主が「金具屋」と命名したのだそうです。
金具屋の象徴、そして渋温泉のランドマークにもなっているのが「斉月楼」(さいげつろう)。木造四階建ての威風堂々とした佇まい。宮大工が長年培ってきた技術の粋(すい)を集め、釘や金具はほとんど使わず、基の組み合わせだけで建てられています(上の写真は昭和9年・建設中の斉月楼)
斉月楼は国の登録有形文化財にも指定されています。上の写真は昭和11年、完成当時の斉月楼の四階から眺めた渋温泉街の風景です。
斉月楼が完成したのは昭和11年(1936年)。上の写真は昭和11年・完成当時の斉月楼。現在の建築基準法では、木造四階建ては建設できないうえに、消防法の規制も厳しくなり、今では木造四階部分まで客室として宿泊できる貴重な存在です。
斉月楼は夜になるとライトアップされます。闇に浮かび上がる 金具屋・斉月楼の幻想的な光景は、渋温泉の名物になっています。