昔ながらの温泉街の雰囲気をそのまま残す長野県・渋温泉(しぶおんせん)。渋温泉の始まりは今からおよそ1,300年前。修行僧たちによって発見されたと言われています。その後、武田信玄の隠れ湯として、また、江戸時代には松前藩主の領地となり、温泉地としても発展しました。
そんな渋温泉は街中(まちなか)に外湯(そとゆ=共同浴場)があることでも有名。風情ある温泉街を散策しながら外湯を巡る――。これも渋温泉ならではの醍醐味のひとつです。
渋温泉で外湯巡りをするには、宿泊している宿で外湯専用の鍵を借りて、九つある外湯を巡ります。外湯の利用時間は朝6時から夜10時まで。外湯の入浴料は無料です
外湯の玄関口にはスタンプ台があるので、宿で買った祈願手ぬぐいにスタンプを押しながら外湯を巡ります。手ぬぐいが湯めぐりのスタンプ帳です( 渋温泉・九湯めぐり )
一番湯は初湯(はつゆ)。こぢんまりした脱衣所。旅館の温泉とは違った質素な雰囲気。飾り気のなさも外湯の魅力です。二番湯は笹藪の中に湧いていたという笹の湯(ささのゆ)。三番湯は別名・子持ちの湯とも呼ばれる綿の湯(わたのゆ)
慢性の痛風に効果があるといわれる四番湯の竹の湯(たけのゆ)。かつては集会所の役目も果たしていたといわれる五番湯・松の湯(まつのゆ)。昔は目を洗って眼病を癒したという六番湯・目洗いの湯(めあらいのゆ)
七回入れば病が全快するともいわれている七番湯・七繰の湯(ななくりのゆ)。裏山の神明山(しんめいざん)からお湯を引いているという八番湯・神明滝の湯(しんめいたきのゆ)
そして九番湯の大湯(おおゆ)。結願湯(けちがんゆ)とも呼ばれ、九湯めぐりで最後に入る場所とされています。建物の下に源泉があるのでお湯はかなり熱めです。
九つの外湯を巡ったら最後に温泉街の階段を上って薬師さま「渋高薬師」(しぶたかやくし)へお参りに。薬師さまの本殿前に置かれているスタンプ台で、祈願手ぬぐいにスタンプを押したら、九湯めぐりの満願成就です。
国の有形文化財にも登録されている 金具屋の斉月楼 など歴史ある建造物に豊富な源泉。そして、現代的な観光地から失われてしまった温泉旅情。渋温泉で出合えるのは時代を経ても変わらない人々の営みとお湯の癒し。長野県・渋温泉。一度は訪ねてみたい伝統の温泉地です。