兵庫県が誇る極上の宿・城崎温泉(きのさきおんせん)西村屋本館。一度は泊まりたい宿として関西を代表する老舗旅館で創業は江戸安政期。150年の歴史と伝統を誇ります。江戸時代はお殿様が宿泊する陣屋だったそうです。
宿に一歩踏み入れば別天地。庭園は四季の彩りが目に心地よく、館内は、李朝(りちょう)中華(ちゅうか)・北欧(ほくおう)の趣を採りいれながら、山陰の古きよき伝統美があふれています。
早稲田大学の創設者・大隈重信(おおくましげのぶ)や第29代の内閣総理大臣・犬養毅(いぬかいつよし)など、そうそうたる著名人が愛した老舗旅館の楽しみは美食と名湯。
滔々(とうとう)と湯をたたえる大浴場は三つ。檜(ひのき)の香る吉の湯(きちのゆ)や桃源郷を思わせる福の湯に朝夕身をゆだねれば、名高き歌人の心地すら漂います。
「ひと夜(よ)のみ/寝て城崎(きのさき)の湯の香(こう)に/清くほのかに/染(し)むこころかな」(与謝野鉄幹=よさのてっかん)
美食と名湯に加え、建築も西村屋の大きな魅力。戦後造られた西村屋別館は、昭和期の関西を代表する伝説の建築家・平田雅哉(ひらたまさや=1900年~1980年)が手がけた名建築。モダンな構造の細部に満ちた和の匠技(たくみわざ)が光ります。
平田雅哉は幾多の名料亭・名旅館を生んだ数寄屋建築の巨匠。大工から身を起こし、平田棟梁(ひらたとうりょう)と呼ばれ慕われた生涯は、名優・森繁久彌(もりしげひさや)が望んで映画化もされました(「大工太平記」1965年)
一代の名匠・平田棟梁。西村屋の館内には、平田雅哉が残したお宝が展示室に飾られています。
西村屋別館の露天風呂付き特別室・観月の間(かんげつのま)は贅(ぜい)をこらした材と技でモダン数寄屋ともいうべき平田雅哉の代表作。部屋からの眺めも一服の山水画。
山走る風、水染める紅葉(もみじ)もまた美しく、心に響くもののあわれ。時雨(しぐ)れる雨はさらによし。
ここぞとばかりに客室の露天風呂へ。信楽(しがらき)の大壺(おおつぼ)に身を沈めれば、浮き世は、はるかかなたへ…
建築・温泉と並んで称されるのが西村屋本館の料理。厳選された最高級の食材を使った季節の料理は多くの美食家をうならせてきました。
一度は泊まってみたい憧れの宿・城崎温泉 西村屋本館 。至極の温泉情緒を体感できる老舗温泉旅館です。