相模湾に面した風光明媚な観光地として親しまれている湯河原温泉。湯河原でも藤木川沿いは歴史ある旅館が立ち並び、昔ながらの温泉情緒が残る一画。温泉街のアーチをくぐったもっとも奥にあるのが今回ご紹介する泉質と食事が評判の老舗旅館 上野屋(うえのや)です。
上野屋の詳しい創業年月は不明ですが江戸時代と言われています。明治時代の風景画には、箱根へ続く主要な道沿いに上野屋が描かれています。
江戸時代、湯河原の治水のために水戸藩が堤防を建設。上野屋にはこのときに水戸藩から贈られたという葵の御紋(あおいのごもん)入りの重箱が残されています。
そんな古い歴史をもつ上野屋が平成19年(2007年)本館の最上階に足湯を新設しました。敷地内に湧く高温の自家源泉をその日の気温に合わせた適温になるように調節。お湯本来の質を大切にしたいとの思いから加水をせず、湯船に注ぐ湯量を微調整することで温度管理をしています。
湯河原の緑あふれる山並みが目の前に広がる展望足湯。温度管理されたお湯は心地よく足の疲れをほぐしてくれます。伝統を守りながらも少しずつ改築を繰り返してきた上野屋。その変化も時とともに宿の歴史となり、訪れる人の心に馴染んでいきます。
客室は意匠を凝らした純和風の造り。時をかけて磨き込まれた木のぬくもりを感じます。湯河原の古い歴史に思いを馳せながらゆっくりとくつろぐことができます。こちら(上の写真)の客室は、もともとは二間でしたが、部屋に温泉がほしいという客の要望に応えて一部屋を改造。自家源泉掛け流しの檜風呂が造られています(客室のタイプは 宿泊プラン の中から選べます)
館内を艶やかに磨きあげられた階段で巡ります。改装を重ねたことから、館内はちょっとした迷路のようになっていて、そんなレトロな雰囲気がよいと、上野屋を訪れるも人も多いそうです。大正から昭和の初めにかけて建てられた木造建築の上野屋。温泉街として栄えた湯河原の文化の高さをうかがい知ることができます。
こちら(上の画像)は、入口に六つの瓢箪(ひょうたん)が掲げられた内湯。六つの瓢箪にちなんで、無病息災(むびょうそくさい)にも通じる「六瓢の湯」(むひょうのゆ)と名付けられています。
お湯は切り傷ややけどに効能があるといわれるナトリウム・カルシウム―塩化物・硫酸塩泉。湯口もひょうたん(瓢箪)の形になっています。
館内には二つの貸切風呂があり宿泊客はいつでも無料で利用することができます。秋は湯船から紅葉が楽しめます。
温泉と並ぶ上野屋の名物は海の幸。相模湾と駿河湾は魚介類の宝庫で、夕食には水揚げされたばかりの魚を使った料理が並びます。海の近くだからこそ味わえる獲れたてのアジはお刺身で。サワラは産卵前の秋が絶品。アオリイカはカレー粉揚げで。新鮮な海の幸の供宴です。
海の幸を味わい歴史ある名湯を堪能。湯河原温泉・上野屋。ご夫婦やカップルで静かな休日を水入らずで過ごすにはうってつけ。還暦や古希などの記念日旅行の宿泊先にもおすすめです。
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