2016年の土用の丑の日は7月30日(土)。当日は鰻屋さんも混むだろうからと、家族三人で鰻屋さんに行くことに。一週間早めの土用の丑の日です。どうせなら美味しいお店がいいよねと、主人が知人から聞いていた暖簾(のれん)も出ていない知る人ぞ知る鰻屋さんに行ってきました。
向かったお店は足立区竹の塚にある鰻屋「柳ばし」(やなぎばし)。駐車場も駐輪場もないということなので歩いて行くことに。普通の民家の中に溶け込んでいて見過ごしてしまうようなたたずまいだということだったので、場所と外観をネットで調べて出たので、それほど迷うこともなく到着できました。
外の入り口脇に石灯籠や笹が植えられた坪庭があります。格子戸の戸口を入ると外玄関と中の入り口のちょうど真ん中にある小さなホールに石と緑と水の和風庭園のようなオブジェがあります。床には玉石が敷き詰められていて、それが店内にまで続いています。内戸には生成りの長いのれんが下げられ、なんとも風情があります。
柳ばしでは予約は受けないので、開店に近い時間帯に訪れ 私たちが一番乗り。お店は座敷席が2つとカウンターのみで、こじんまりとしています。お店に入ると奥から芯の通った雰囲気のシャキッとした女将さんがお出迎え。「すてきなお店ですね」と言うと「古いだけがとりえなもので」と女将さん。
大人三人だったのでカウンター前にある小上がりの座敷席に案内されました。いちおう四人掛けなのでしょうか? でも大人二人が並ぶには正直少しだけ窮屈なスペースでした。体格がいい人では並んで座るのはむすかしいかもしれないですね。二人までだとカウンター席に案内されるようです。
最初にお茶が運ばれてきました。ほうじ茶のようです。お茶といっしょに手渡されたメニューを見ると、うな重は2,000円のものが一種類だけ。あとは鰻巻き(うまき)と焼き鳥といったところ。このメニューだけで勝負しているところに鰻の名店の期待が高まります。
うな重を三人前注文しましたが、うなぎの焼きに1時間近くかかるとのこと。ビールも飲みたかったので瓶ビールと焼き鳥、それに鰻巻きを二つ注文しました。ビールを頼むとお通しが出されました。梅酢に漬けたナスとミョウガのお漬物と、梅干しの練り物です。
余談ですが、昔は「鰻と梅干は食べ合わせとして良くない」などと言われてきましたが、最近では根拠のないことになっています。
ビールを1杯飲み終えるかどうかのところで焼き鳥が運ばれてきました。焼き鳥といえば、いわゆる串に刺さったものを思い浮かべますが、こちらの焼き鳥はとっても個性的。上画像は取り分けてしまったあとのものですが、運ばれてきたときはモモ肉が丸ごと1枚載っていて、ザクザクっと4つに切り分けてありました。
炭火でていねいに焼かれた皮はパリッパリ。しっかりと食べごたえのあるお肉の味付けは素材を活かす塩味。香ばしくて病みつきになる味です。付け合せの焼き玉ねぎもほどよい塩加減で絶品。この玉葱、もっと食べたかったなぁ。
焼き鳥を食べ終えようとするところで鰻巻き(うまき)がきました。鰻巻きの両脇にはザクザクっとおろされた粗めの大根おろしが添えられています。中にはうなぎが入っています。熱々でおいしそう。
お皿に取り、お箸で半分に切ると鰻がごろっと顔を出します。卵はだし巻きですが、鰻のタレの甘味と相まって絶妙。ボリュームのある美味しい鰻巻きでした。ビールも進み、もう1本追加。
鰻巻きを食べ終えると、うな重に付いてくる肝吸いとお新香が運ばれてきました。お料理を出されるタイミングもとっても絶妙。気配りを感じますね。肝の上品なお吸い物と三つ葉がとっても心おちつく一品。香の物は、なす・きゅうり・大根・山ごぼう。いい箸休めになります。
今日の主役、うな重が運ばれてきました。お重を開けると香ばしく焼かれた鰻が、大将のお人柄が伺えるほどご飯の上にきちんと、とってもきれいに敷き詰められています。
鰻のいい色合いとタレもたっぷりとご飯に染みて、これは絶対おいしいに違いないということはもう食べる前からわかってしまうほど。
鰻に箸を入れるとサクッと通り、口に入れるとふわっとやわらかい。タレとからんだご飯は固めに炊かれていてとてもおいしかった。お米へのこだわりも伝わってきます。そしてご飯と鰻の割合も絶妙です。
こんなに美味しい鰻が2,000円で食べられるなんて感動です。いいお店に来ることができてよかった。
「美味しいって言ってくださったので多めに入れました」と、女将さんが最後に運んでくれたデザートはアイスクリーム。黒いつぶつぶはゴマかな? と思っていただくと、有名メーカーの高級アイスよりも美味しかった。
女将さんは忙しそうだったのでアイスクリームのことは聞けなかったけど、アイスに入っていたツブツブは、歯ざわり、舌触りがゴマとは少し違う感じ。あとから思うと、ほうじ茶の葉っぱを入れてあったのかな。
食事も終わり帰り際、お手洗いを拝借しましたが、トイレは和式でお掃除も行き届いていてとても清潔でした。窓際にも季節の草花が飾ってありました。こうした心づかいは気持ちも和み素敵ですね。
お会計は1万円でお釣りが来ました。家族三人で鰻をいただいて、そのほかにビールとおつまみ二品でこのお値段はかなり良心的。料理はどれをいただいてもおいしかったし、お店の隅々まで気配りとこだわりを感じた隠れた鰻の名店でした。
お店の目印になるのは(上の写真の)石でできた立て看板と格子戸風の家屋。足立区竹の塚の鰻屋「柳ばし」。鰻が食べたくなったらまた来たいお店です。
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今回おじゃました鰻屋「柳ばし」の住所は、〒121-0813 東京都足立区竹の塚1-12-19。正確な場所は上記の地図で確認できます。営業時間は17時~21時。定休日は火曜日。日曜営業。最寄駅は東武スカイツリーライン竹ノ塚駅。竹ノ塚駅東口から徒歩約10分。駐車場はありません。電話番号は3-3883-0034(ホームページはありません)